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= まぶい分析学 Mabui Analysis =

「まぶい」とは琉球語で「たましい」という意味です。琉球語は古代大和語と深い関連があることが分っています。したがって、琉球語で語られる精神世界は、古代大和から連綿と続く日本人の精神世界を表し、いわば、日本人の心の源流であると考えられます。このような日本文化と西洋諸心理学を融合、体系化することが出来、これを「まぶい分析学」と呼んでいます。まぶい分析学の命名は、姫路獨協大・實川幹朗教授によります。記して感謝。 まぶい分析学と精神分析や分析心理などの他の心理学との違いは、分析と同時に治療法が提示されること、家族療法として主婦が修得すると家族成員に対しても効果を発揮することです。なお、http://matayan.ti-da.net/ にミラーサイトを準備しています。  
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日本文化に基づいた心理学であるまぶい分析学は、当然のように、日本語に特徴的な単語”甘え”の概念に基づいている。この甘えの概念について、よく考えてみると、間違った解釈がいきわたっているのではないかと思う。大体、"甘え"の言葉を精神医学と関連させて追及・提唱した本家本元の土居健郎でさえ、どうもおかしい。

というのは、もう20年前後前であるが(分った時点で記入する(^^;)、東京は順天堂大学で行われた日本家族研究・家族療法学会年次大会の特別講演で、甘えとは(特に子が母に対しての)依存欲求であり、それは好ましいものではない、という内容であった。この時点から、土居の(甘えの)著作は面白い!と思いながらも現実を否定するようなことに非常に違和感を覚えたものだった。日本社会に見られる種々の甘えの行動を好ましくないというからには、日本社会の否定ではないか。

さて、土居健郎の著書"甘えの構造"はロングセラーであり、日本人、日本文化の理解には必須のキーワードということもあり、したがって、多くの人に読まれ ているので、考え方も一人歩きをしているものと考えてよい。そこで、ネットを検索して得られる"甘え"について、機会あるたびに色々と論評を加えてみた い。これはまぶい分析学における"甘え"をより深化させることを目的とするものだ。

グーグルから拾ってみよう。
まず、ウィキペディアである。

(引用ここから)

甘えの構造

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

「甘え」の構造』(土居健郎著、弘文堂、1971年出版 ISBN 4335651066)は、代表的な日本人論の一つである。英語版「The Anatomy of Dependence」は1973年に、Kodansha Americaによって出版された。

本書によると、「甘え」は日本人の心理と日本社会の構造をわかるための重要なキーワードだという。甘えとは、周りの人に好かれて依存できるようにし たいという、日本人特有の感情だと定義するこの行動を親に要求する子供にたとえる。また、親子関係は人間関係の理想な形で、他の人間関係においても、親 子関係のような親密さを求めるべきだという。

土居健郎が、1950年代の米国留学時に受けたカルチャーショックを把握しようと、日本を把握しようと試みた本。「甘え」に該当する言葉が他言語に見つからないことに着目した。サピアウォーフの文化言語論(サピア・ウォーフの仮説言語的相対論)、ジークムント・フロイト精神分析ルース・ベネディクトの『菊と刀』に影響を受けた考察。

(引用ここまで)

上記引用で赤部分が、僕がおかしいと思う点である。特に「日本人特有の感情」というのは大問題だ。周りの人に好かれたいというのは、今まで交際してきた外国人、特に沖縄県内の基地内大学の教官や学生達との経験においては、むしろ、彼らのほうがそのような感情が強く現れ、日本人である我々は、その辺は「恥ずかしさ」の感情が芽生えるせいだろうか、大変におとなしいのである。なぜこうなるかはまぶい分析学の理論で説明可能となった。したがって、このウィキペディアの記載者が間違いなのか、土居健郎が間違いなのかは、今は明らかではないが(あえて明らかにしない(笑))、そのような定義は噴飯ものである。間違った定義の上に構築された論理は、当然、どこかで破綻するだろう。

また、「親子関係は人間関係の理想な形」というが、果たしてそうだろうか?親と子では、既に対等な関係ではないことは明らかだ。子は親に依存することなしには、特に幼少期は、生存不可能な存在である。つまり、突きつめれば、親子関係とは従属関係の代表のようなものだ。これを他の人間関係にも求めるべきとは、暴論にも等しいのではないだろうか?

土居健郎の、あるいはウィキペディアの記載者の言いたいところは、人間関係一般においては、相互信頼に基づく関係を構築できるような能力を持つことが望ましい、ということではないだろうか。であれば、甘えたい状況にあるものを適切に甘えさせることが出来れば、甘えた人の心には、甘えさせてくれた人に対して信頼の心意が芽生え、それがある程度持続するようになると忠誠の心意が発生する、ということをベースにし、相互に甘える、甘えさせるの関係を構築することが大切なのではないだろうか。

また、アメリカの大学院で臨床心理の博士課程の学生さんのエッセイ、アメリカの子犬は甘えない?というのがある。引用するには、この文が長くなりすぎるかと思うので、適宜参照して欲しいのであるが、次のようなことが言われている。

子犬が飼い主にじゃれる様子を表現するのに、日本語だと「甘えている」といえるが、英語ではそういう語がなくその状況を記述する言葉で表す・・・

ということだろう。つまり、感情は日本の犬もアメリカの犬も同じに発生するが、それを表現する言葉があるかないかだけの違いである。さらに、その大学院生のエッセイには、あまり親しくない知人に家へ、寒い中を訪問したとき、何か温かい飲み物を期待するのが甘えであり、・・・、といった記述がある。この点も、詳細は別に検討することとして、アメリカ人も日本人も、そのような気持ちになることは同じであるが、それを言うのを遠慮するか、それとも(臆面もなく?(笑))言葉にして言うのかの違いだけである。

以上のようなことを考えると、「甘え」なるものが日本人特有の感情である、などとはとても言えるものではないということだ。感情は人間に共通であると思う(^^; ただ、その感情の表出が、容認されているか、抑圧されているか、といった違いであり、これは文化が違う、という形で理解されよう。
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Dr.MataYan
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誕生日:
1947/08/09
職業:
日本文化の心理学と家族療法研究会主宰
自己紹介:
◎工学士(静岡大学、電気工学、昭和45年)
◎医学博士(東京大学、医用生体工学、昭和55年)
◎荻野恒一慶応大学客員教授に文化精神医学・精神分析を師事・共著:沖縄のシャーマニズム(祖先崇拝)に見る家族療法の機能、理想、628号。
◎臨床心理士(平成2年登録、なお、この肩書きを維持することへの疑問を感じたので、平成7年には再登録を停止した)

〒904-8799
沖縄郵便局私書箱第205号
日本文化の心理学と家族療法研究会
電話 090-1940-0525
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