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= まぶい分析学 Mabui Analysis =

「まぶい」とは琉球語で「たましい」という意味です。琉球語は古代大和語と深い関連があることが分っています。したがって、琉球語で語られる精神世界は、古代大和から連綿と続く日本人の精神世界を表し、いわば、日本人の心の源流であると考えられます。このような日本文化と西洋諸心理学を融合、体系化することが出来、これを「まぶい分析学」と呼んでいます。まぶい分析学の命名は、姫路獨協大・實川幹朗教授によります。記して感謝。 まぶい分析学と精神分析や分析心理などの他の心理学との違いは、分析と同時に治療法が提示されること、家族療法として主婦が修得すると家族成員に対しても効果を発揮することです。なお、http://matayan.ti-da.net/ にミラーサイトを準備しています。  
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7.エロスの「甘え」とロゴスの「甘え」
ここでまた発達論の立場に戻って考えてみよう。条件母性反射が成立した相手(母)に対して、子は何かと甘えていく。生理的欲求に基づく「甘え」の行動は、 無条件に母は甘えさせてあげるものである。そこには理屈を伴う「言葉」はいらず、表情なりなんなりでも良い。十分に機能する。それが充足されると、自然に 安全欲求に基づく「甘え」の行動が発現する。これが充足されるようになると、一人で留守番ができるようになったり、一人で遠くまで行けるようになったり し、次位の所属・愛情欲求に基づく「甘え」の「行動」が自然に発現するようになる。この欲求が現れるのは、個人差はあるが、3~5歳頃である。この頃に は、子の言語機能も発達しているので、所属・愛情欲求は、スキンシップなどエロス(母性)的なものと同時に、言語コミュニケーションすなわちロゴス(父 性)的な「甘え」の形をとって現れるようになる。



言語によるコミュニケーションの特徴は、条件母性反射が成立していない他者(情緒的なつながりの無い他 者)との関係を築くのに重要な役割を果たすということだろう。お互いの意志や気持ちを「言語」を媒介にして相互に了解しあえると、相互に一体感が生まれた りする。その一体感を確実にするため、あるいは確認するため、ハグしあったり、握手し合ったり、スキンシップへ移行することがよく観察される。男女であれ ば肉体関係へ発展したりもする。ロゴス的に互いに甘えることができると、それは互いにエロス的な甘えに移行する傾向がある、と考えて良いであろう。

人間の精神的発達は、始めは家庭内でエロスの甘えを享受して精神的に成長し、しばらくしてからロゴスの甘えを求めるようになる。「甘え」が母から他者へ移 行するのである。いや、厳密には「移行」ではなく「拡散」あるいは「拡張」であろう。母への甘えが不十分であれば、例えば退行して、子供は不登校に陥った りもするのである。

ある他者との間でロゴスの甘えが充足されるようになると、その他者との間でエロスの甘えを求めたくなるものだ。これはメールで知り合って意気投合して友人 となると、なにやらお互いに会って見たくなったりすることと同じであろう。ネット上の不倫は、このようにして起こるものとも考えられる(もちろん、他にも 理由はあるが、それについては、ここでは触れない)。このようにして、子は社会化していくものと考えられる。社会において、他者とロゴスの甘えを享受しあ えないとなると、これもまた例えば、子供の不登校の原因になったりするものだ。

以上のことから言えることは、次のようである。人間は、エロスの甘えを享受することで精神的発達を遂げ、ロゴス機能の発現と共に、他者との関係を構築して いく能力を獲得するようになる。始めはロゴスで関係を他者と作るが、それは次第にエロスの甘えに移行し、エロス的人間関係を社会に求めるようになる、とい うことだ。


8.父性(父)の役割は母子関係の「切断」か?
さて、河合氏は、父性(父)の役割を母子関係の「切断」と表現する。そのことは、例えば、河合氏の著書『子どもと学校』(岩波新書1992)で、二つの原理は次のように図表化されている。

父性原理          母性原理
機能    切る            包む
目標 個人の確立 個人の成長   場への所属(おまかせ)
場の平衡状態の維持
人間観 個人差(能力差)の肯定 絶対的平等感
序列 機能的序列 一様序列性
人間関係 契約関係 一体感(共生感)
コミュニケーション 言語的 非言語的
変化 進歩による変化 再生による変化
責任 個人の責任 場の責任
長 指導者 調整役
時間 直線的 円環的

果たしてそれは正しいであろうか? 家庭における父の役割は、これまでに述べてきたことからすれば、母子関係の「切断」ではない。母子関係で培ってきたも のを社会へ「接続」することである。このように本来ならば、「切断」ではなく、子のロゴス機能の発達に応じて、スムースに移行すべきものではないだろう か? つまり、幼少のうちは母親のエロスに甘えながら、言語機能が発達するようになると、ロゴスにおいても母に甘えるようになり、その機能が、条件母性反 射の成立していない他者に対して交流を持つ基礎を与えるのではなかろうか? 父親を代表とする他者に対しては、まずはロゴスで甘えながら、それが受容され るようになると、逆にエロスの甘え(ハグや握手)に移行するのではないだろうか?

大人達の行動は、明らかに、まずはロゴスの甘えをお互いに出し合い、それがお互いに受容されることが確信できれば、エロスの甘えに移行する。また、子供達 の行動を観察すると、エロスの甘えが充足されていない子は、それを補償するかのようにロゴス(言語)が発達している。このように、エロスにしろロゴスにし ろ、それらに通底するものとして「甘え」が存在する、ということができよう。
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Dr.MataYan
年齢:
76
性別:
男性
誕生日:
1947/08/09
職業:
日本文化の心理学と家族療法研究会主宰
自己紹介:
◎工学士(静岡大学、電気工学、昭和45年)
◎医学博士(東京大学、医用生体工学、昭和55年)
◎荻野恒一慶応大学客員教授に文化精神医学・精神分析を師事・共著:沖縄のシャーマニズム(祖先崇拝)に見る家族療法の機能、理想、628号。
◎臨床心理士(平成2年登録、なお、この肩書きを維持することへの疑問を感じたので、平成7年には再登録を停止した)

〒904-8799
沖縄郵便局私書箱第205号
日本文化の心理学と家族療法研究会
電話 090-1940-0525
電子メール postmasterに@を続けてその後にmatayan.comと書く

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