「自宅トイレで出産、女児の死体遺棄……横浜の16歳逮捕」と書かれた2005年8月5日付けの新聞記事が目に止まりました。要約すれば、16歳の少女が自宅トイレで出産したが、産声で家族に知られるのを恐れ、女児の口を手でふさいだというのです。
「ねえやは十五で嫁にいき」と童謡で歌われるように、かつてわが国でも14、15歳で結婚、出産となることは珍しいことではありませんでした。動 物としての極めて生理的な生殖活動が繰り返されていたのです。しかし、豊かさを求めるがあまりに高学歴化、晩婚化が急速に進み、動物としての性が歪められています。
どう歪んでいるのか全く分りません(笑)
このような事例には良く遭遇しますが、歪められているとは感じられません。
歪んでないからこそ、セックスが行われているのです。
親や教師はこの現実をどう受け止めているのでしょうか。まさか「うちの子に限って」と目を伏せたり、「寝た子を起こすな」と怠慢をしてはいないでしょうね。そのような無理解と性を語ることへの消極性が、子どもたちからの「サイン」を見逃し、悩みを打ち明けられないでいることに気づいていないのです。
これは違います。親の無理解と性を語ることの消極性ではなく、
子ども自身がこういうことになったことへの『恥ずかしさ』を覚えているから、
そして、親に知れたら『怖い!』ということから、この行動に走ったのだと
考えるのが順当ではないでしょうか?
オトナの目から見たら頼りないとはいえ、若者たちにも「産む」「産まない」の選択権はあるはずです。 事実、15歳から19歳の女子人口千対の出産率は米国では54.4人でありながら、わが国の場合は3.9人と超低率です。日本は若者たちのリプロダクティ ブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)が軽視されている国とはいえないでしょうか。産むことだけが美徳だとは考えませんが、産みたい欲求があ りながら強迫的に人工妊娠中絶に向けられることが健全な社会であろうはずがありません。もちろん、中絶する権利が保障されていることも教えられなければな りません。多様な生き方や選択肢があることを若者たちが学んでいたら、今回のような悲劇は生まれなかったのではないかと悔やまれてなりません。
若者が生む、生まないの選択権とは何でしょうか。若者は社会的には自立していませんから
生んでどうせよというのでしょうか。親の協力、もしくは社会的支援が不可欠ではないでしょうか。
このようなとき、親の気持ちも無視することはできません。
それでは、このような事件はなぜ繰り返されるのでしょうか。僕自身の意見をまとめてみました。
1.ヒトは動物性を有することを本人も家族・社会も忘れている。
チンパンジーは初経や精通を迎える直後から交尾を開始するといいます。だ としたら、動物である私たち人間が、12、3歳でセックスをはじめても不思議ではないのかもしれません。しかし、理性ある動物としては人を傷つけたり、人 を殺したりすることが許されるはずもなく、早期性教育によって、無知ゆえの失敗を犯さないようにサポートするのは私たちオトナの責任です。
何でチンパンジーと同じに考えなければいけないのでしょうか。笑止です。
大人の責任といいながら、これを早期性教育という形にもっていくことの
正当性を検証しなければ、これこそ無責任です。
2.社会が若い世代のセックスに否定的であることから、セックスだけでなく妊娠についても親や学校など身近なオトナに相談できない。
レイプ被害に遭った女の子が、被害者でありながら親に相談できないことがしばしばあります。「そんなことあってほしくないけれど、妊娠などあなた ひとりで解決するには荷が重い事件に直面した時、いつでも相談に乗るからね。それがあなたを産んだ親の仕事」と伝えてやってください。
何ゆえに社会が否定的だからというのでしょうか。相談できない、しにくいのは、
『恥ずかしいこと』だからではないのでしょうか?ここを間違えると、大変なミスリードになります。
親に相談できるような親子関係であれば、子供の問題は解決したといっても良いかと
思いますが、そういう親が一般的かどうかということになりましょうか。
3.性・避妊教育が不十分である。
「寝た子を起こすな」の姿勢では事件を未然に防ぐことはできません。科学的、具体的な情報を正確に学ぶことで行動が慎重に、しかも臆病になります。
これは・・・(笑)。知識を与えて恥を捨てる、ということになることに注意しないと(笑)。
科学的、具体的な情報を学ばせることで寝た子を起こす姿勢では、それは、教育として
なされるものではいけないでしょう。むしろ、信頼関係のある親、もしくは親代理によって、
なされるほうがいいのではないでしょうか。知識を与えて恥を捨てるということが
防げます。
4.若者達が選択したいと願う避妊法や人工妊娠中絶に対する社会的・経済的サポートがない。
このコラムでも何度か繰り返していますが、日本は「思春期の若者に対する健康と権利への投資」(第22話)が十分になされている国とはいえません。若者たちの性感染症の早期発見・治療の無料化、低用量経口避妊薬(ピル)の無料提供などをなんとか実現させたい。
これでは若者のチンパンジー化ということになりませんか?
それではなさけないのではないでしょうか。それを一般的に普及させるというよりも
信頼関係のある人人から入手可能であるようにすることのほうが良いでしょう。
5.婦人科受診や経費などが負担となって、世界の若者たちに広く使用されているピルを入手しづらい。
1カ月分が2000円から3000円のピルを腟外射精に比べて高いというのか、中絶経費と比べて安いというのか。
若者が簡単に入手できるようになれば、まさに
チンパンジー化ですね(笑)。ぜひ、人間化して欲しいものです。