2005年1月15日;初出し
2008年(平成20年)5月20日(火):旧ブログより移動
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『反復強迫と甘やかし』というエッセイでの説明からすれば、反 復強迫は次のようにも理解できる現象ではないでしょうか。基本的欲求が、生理的欲求 → 安全欲求 → 所属・愛情欲求 → 承認欲求 →自己実現欲求の経路のように、順次かつ自然に遷移して現れてくれば良いのですが、現実問題の影響は避けることができないものもあるわけで、たとえば、安 全欲求を充足しようとするがそれがかなわない状態であるとき、これを【安全欲求】という形で記号化して表現しましょう。これが越行し代理欲求として承認欲 求が現れる場合を考えてみましょう。
つまり、【安全欲求】→ 承認欲求 となるわけですが、ここで、承認欲求が充足されるようであれば、それは安全欲求が充足されるまで延々と続くこととなる のが「反復強迫」であるわけです。この「延々と続く」ということが、実際の生活感覚の中では「何かに憑かれている」「何かが憑いている」ということを思い 浮かばせるものと思われます。何が憑いているのかを考えてみましょう。
甘えの世代間伝達(継降)の特徴である「親に甘えることができなかった者は、自分が親になったときに、自分の子を甘えさせることができない」ということに 基づいて考えます。つまり、安全欲求が充足されない状態にある子は、親もまた安全欲求の充足が不十分であったことになるわけです。もちろん親の親もという ことで、これは先祖代々から続いていることと原則的には言えるわけです。この意味からすれば、その子には親・祖先の霊が憑いていると言って良いということ になります。そして、承認欲求については、これは模倣によって生じたと考えられるものであるわけですから、模倣の対象が『憑いてしまった』と考えられるの です。多重人格や動物憑きなどは、このようにして説明、理解が可能であるケースが結構あります。
例としては、第一子に起こりやすいのですが(これは越行ではなく退行です)、赤ちゃんである第二子の行動を模倣したときには「赤ちゃんの霊が憑いた」と考 えてよいと思います。赤ちゃんの霊が憑くことにより、問題となってしまう場合(子育てがうまく行えないほどに問題行動となる場合)、「水子の崇り」が浮か び上がってくることになります。越行の場合にも、甘えられる関係にある人を見て、その人の行動を模倣するわけですが、目上の人や漫画やテレビなどのキャラ クタがその対象となったりすることがあります。特に共稼ぎ、少子化といった中でのメディアの氾濫は、メディアの内容が模倣の対象となる場合が多いであろう ことは想像に難くないでしょう。つまりそれらが憑いてしまうこととなるというわけです。
代理欲求を充足させようとする行動には、「がむしゃらさ」や「強引さ」といったことをが伴うのが普通です。というのは、代理欲求が発生する原因となってい る基本的欲求が充足されないので、常に不安を抱いているからですし、それを充足することなしには病気になって死に至るということにもなりかねないので、が むしゃらにならざるを得ないのです。例えば『熱心である』というような、それを押し隠すかのような行動になりがちなので、何につけ強調されて目立ってしま うのです。それはまた、模倣する側にも言えることで、何かを求める気持ちが強くなりますので、そのような目立つ行動は特に目に入りやすく、自分の心情と一 致するものであれば即座に模倣してしまうと考えられるのです。これは「霊の乗り移り」と考えてよい現象でありましょう。
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