中 国は天洋食品(中国国営企業)の毒餃子問題に興味をもって種々報道を見てきた。ここにいたって、先月末に中国側からの公式見解では、中国国内での毒物混入 はきわめて小さい、ということが示された。これまでは、主張には科学的根拠をといつものたまわっていたにもかかわらず、その科学的根拠は一切示されず、そ れどころか、日本警察まで非難する始末である(各ウェブ新聞の特集欄を見れば分る)。
あまりにも情けないと感じるのはボクひとりではないだろう。しかし、この様子は全世界も注目してみているはずであり、日中双方の主張を見れば、中国側がおかしいというのは一目瞭然であろう。
また、日本国内では報道の管制をしくことは不可能に近い話であるが、これが当たり前である中国では報道管制をし、おだやかに・・・といった主張をしてきた が、なにをかいわんや、先月末の両国考案・警察トップの会談で相互協力をうたった翌日には、かけたはしごを一方的にはずしてしまう愚挙に出てしまったの だ。
北京オリンピックを控えているが故のあせりは見えるのであるが、これでは全世界へハジを撒き散らしているようなものだ。中国共産党幹部は、こういうことに気付かないのだろうか?本当に不思議である。
中国が公式見解として、中国産食品は安心である!と、無根拠に、声高々に叫べば叫ぶほどに、われわれはしらけてくるのではないだろうか。その叫ぶ傍らで は、問題の発端となったメタミドホスを積載したトラックが横転して毒物を道路に2トン半も垂れ流したニュースがあったり・・・。
共同通信社記者が中国でメタミドホスを購入し所持していたのを見つけると、国家も国民もこぞって日本がどく餃子問題の原因であり自作自演であるといった雰 囲気を作り上げてしまうまでに至った。一昔前ならば、こういうことも世界の人々の多くが信じてしまうような状況であろうが、情報伝達が発達した現在におい ては、そうも行かないと思うし、そうであることを期待したい。共同通信社記者が購入できたこと自体が、中国では、国としては金して取り締まりの対象とした かもしれないが、それがまったくといっていいほど功を奏していないのが現実であることの証左だろう。
この件は、各所で扱われているけれども、産経新聞社北京支局の
福島香織記者のブログが大変に有用であり、とても面白い。
心理学的話題に転じてみよう。本来はこれなのだから(笑)。
二重拘束(double bind)と いう言葉がある。親密な関係にある者同士に発生する現象で、言外の正反対の意味を伴うメッセージが相手に同時に伝達される、というものだ。しかし、中国と いう国家に対して親密な気持ちを持っていようといまいと、中国からのアナウンスメントには、引いてしまわざるを得ないだろう。親密な関係にないときにも、 二重拘束と同様の現象が発生しているわけだが、こういうのはなんと呼べばいいのだろうか? 普通には”うそつき、””偽善”で済むであろうけれども。中国 が公式に無根拠に「中国産食品は安全である」と叫べば叫ぶほど、それはむなしい努力といってよいと思われる。
二重拘束はまた、「関係」に作用する「毒」といっても良いものだ。二重拘束によって、関係は悪化するのである。このようなことに気付かずに毒を振り撒いて しまうようなことは避けるほうが良いと思う。さもなくば、振りまいている本人(中国)が、毒そのものとなってしまうからだ。中国は近代化をあせっているけ れども、背伸びはよくない。これはまぶい分析学では「越行」と呼んでいるのだが、越行をし続けると、ある時点で急にダウンしてしまうものなのだ。共産主義 国家の崩壊は、越行という現象の良い社会事例であると思う。
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