WHO(世界保健機関)では、既に述べましたように、『霊的な健康』が取り上げられています。WHOが言う『霊的な健康』というのは、
Health is a dynamic state of complete physical, mental, spiritual and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity(完全な肉体的、精神的、Spiritual及び社会的福祉のDynamicな状態であり、単に疾病または病弱の存在しないことではな い)
ということなのでありますが、これを契機として、シャマニズムを文化の基礎として持つ日本では、『霊』と『病気』の関連は以前からも言われていたことであ るのですが、特にこのところ『霊的な病気』ということが盛んに言われるようになったように思われます。実際、インターネットの検索にも多くの項目が現れま す。『霊的』と『病気』をキーワードとしてGoogleで検索すると30,600件もヒットします。AA(Alcoholics Anonymous)なる団体は、早くから、アルコール依存症を霊的な病気と考えていたようでもあります。先のキーワードに『AA』を追加すると、 9,240件がヒットします。これらを調べてみますと、『霊的な健康』というのはWHOが定義しましたけれども、『霊的な病気』ということに対しては、明 確な定義が見当たらないということがあります。
そこで『霊的な病気』の定義を試みてみることといたしましょう。
これまでの人間の心(霊)の性質の検討から、人間の心(霊)は意識(生霊)と無意識(死霊)から成るものであることが解っています。ここで、意識(生霊) は、認知能力のことであり『自分自身』のことを指し、無意識(死霊)は自分ではわからない自分の『癖』の集合体のようなものであり、それは主として養育者 である『親』そして『祖先』の行動様式をコピーしてきた結果のものです。つまり、人間の心には『自己』と『他者』が存在するということになります。
注意:ユング心理学では、意識と無意識をふけたものが『自己』となっています。
この点、ユング心理学とまぶい分析学が根本的に異なる点のひとつです。
一人の人間の中に『自己』と『他者』が存在するがゆえに、自分は『こうすべきである!』と強く思っていても、結果的には、それと反対のことをしてしまう、 ということが良く経験されます。アルコール依存症の人達も意識的には『飲みたくない!』と思っていても、ついつい『飲んでしまわざるを得ない』という心的 状態にあるわけです。DV(Domestic Violence、家庭内暴力)の場合でも、『こんなことしちゃいけない!』と日頃は思っていても、その場になるとつい『手や足が出てしまう』ということ を繰り返しているのです。このようなことからすれば、
【定義:霊的な病気】
自分の意思に反した行動を繰り返し繰り返しとってしまう状態
ということとしてよいのではないでしょうか。さらに、ここでは『病気』についても定義が必要でありましょうから、
【定義:病気】
本人及び/もしくは本人と生計を同一にするものが専門家として
の第三者の支援を必要とするほどに心身の不調を訴える状態もし
くはそのような状態に至ると予見される状態
としておきます。これはWHOの健康の定義と齟齬なく一致すると言えましょう。
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