2008年(平成20年)2月26日(火) 旧ブログより加筆・転載
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条件母性反射と心の病の続きを述べてみたい。このような「心の病」の場合は、その原因は分からない現状では、原因についてはなんとも致し方がない。
ところが、ひとつだけ、問題点というか、現場などを通して確認しうることがでてきた。以下にこれを述べるが、このことを詳細に研究するには、自分自身の年齢を考えると不可能であるので、次世代の研究者にゆだねたい。
いわゆる健常な人の心の発達は、条件母性反射が形成され、子の甘えの対象が確定し、子の基本的欲求の未充足から来る甘えの行動を親が受容することによってなされる。そのとき、下位の欲求を充足させれば「自然に」次位の欲求が発現する、というものである。
この「自然に発現する」というのは、本能として組み込まれていることを前提にしているものだ。つまり「先天的」に備わっている能力であり、マズローの階層欲求論の前提でもあり、拡張マズロー論すなわちMaslow-Matayoshi's theory においても根幹をなす前提である。
ところが、自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群、注意欠陥多動症、・・・、このように呼ばれる「病気」の一群にも、このことは当てはまるのだろうか?という疑問がある。もし当てはまるのであれば、色々提唱されている治療プログラムに対して有用な示唆が行えるであろう。
では「当てはまらない」ということになればどうなるのか。つまり、下位の欲求が充足されれば「自然に」次位の欲求に移行するという本能的すなわち先天的な性質が壊れてしまっている場合である。この場合には、人為的に階層欲求構造を構成しなければならなくなる。先天的な部分を後天的に作成できるのかどうか、という問題にもなってくるであろう。これは、彼らが将来、他者との関係をもてるかどうかという問題にもなるので、よく研究する必要がある。彼らとの関係も持ち方というようなマニュアルの作成にもつながってくる。
さて、実際にはどうなのだろう?マズローの階層欲求説は、そのような心の病を患っている人たち、あるいは知的障害者達にも当てはまるのであろうか。
障害児との毎日の生活は、障害の程度にも拠るが、受容的な母であることを維持していくのはことのほか大変である。だから、子が不快感を覚えたらしい状況を察知し、母親が寄って行き、その不快感を除去し快感に変えていく、という子育ての本質がなかなか実践しにくいのである・・・。ここに、まぶい分析学の理論的内容を実生活に導入するとき、祖先祭祀の基本儀礼が役に立つ。
祖先祭祀の基本儀礼をかって実践してくれた母親がいた。その母親には、小学校5年になる、自閉症と診断された子がいた。まぶい分析学講座を受講し、祖先祭祀の基本儀礼を淡々と実践していくと、9ヶ月が経過する頃には、子に変化が生じた。子が母親に甘えるようになったのである。この変化に母親は驚いたが、その時点では疲労も重なっており、子の甘えを拒否してしまったのだ。それ以来、また子は・・・。ということがあった。
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