人間観には、男女平等という考え方と女性優位/男系原理という考え方の二つがあることは、特に後者は、あ まり知られていない。皇位やトートーメーの継承の基本である、長男が継ぎ女は継がないという原則は、後者の女性優位・男系原理の考え方に基づくものであ る。したがって、継承問題を考えるときは、女性優位/男系原理の考え方を知らずして語ることは許されるものではないと言えよう。これこそが、社会治安がダ ントツに高い、家族力の高さを誇る日本文化の基本なのである。
現在の男女平等論は、フェミニズム(女性主義)とともに、西欧から輸入された考え方であることは良く知られているといってよい。これは、社会的権利と義務 に関する限りは、男女平等は当然のこととして考えてよいものであろう。この点に関しては、西欧から輸入されたフェミニズム、現在の日本の男女共同参画の基 盤をなすものであるが、一定の社会貢献をなしてきていると断言して過言でない。従来では、職場において片隅に縮こまっていた女性が、これにより、地位向上 が果たされて、働く女性にとっての福音をもたらしてきている。良い社会を構成するには、男女平等論のほうが有効かもしれない。
というのは、社会的には、主として”仕事に関する能力”が中心的な関心事であり、その面での権利や義務は、原則的には、男女に違いがないほうが良いことは 明らかであろう。この男女に違いがないほうが良い、という視点は、ジェンダー・フリーという考え方を生み出し、男女の違いを考えないようにしようという社 会風潮を一時生み出した。
しかし、男女平等論は人間にとって絶対的なものではない。日本文化においては、女性優位/男系原理の考え方が古来より実践されてきているのである。
女性優位/男系原理は、男女の特性を最大限に考慮し、その特性に基づいて相互に補完しあう関係を実現する方法で、主として家庭生活における基本原理として 機能しているものである。その目的は、万世一系にわたる子々孫々の繁栄と和合の達成である。この考え方が採用された社会では、社会治安の高さが実現され る。この様子は、欧米社会と日本社会の犯罪発生率を比較してみれば明らかだ。日本の社会治安の良さは世界的に定評がある(あるいは”あった”というべき か)。
ところで、西洋はロゴス、東洋といっても日本はエロスの社会であるといわれたりする。別の言葉で言えば、西洋は父性社会、日本は母性社会である。父性と母 性は、どちらが良いかという問題ではなく、どちらも必要なものである。この意味では、西洋(父性社会)と日本(母性社会)は、それらの特徴を元に融合する ことが望ましいといえよう。言うなれば、社会的権利・義務に関しては男女平等を、家庭的人間関係においては女性優位/男系原理を採用できれば良いのではな いかと考えられるのだ。
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