一生懸命に努力して仕事に精を出し、それなりの地位と財産をなしたが、二代目である子供がそれを活かしきれず、贅沢三昧な生活に明け暮れ、せっかくの財産 を食い潰してしまう、といったことがある。そこまではいかなくとも、仕事にやる気の無い息子が成長していくのは、親としてはつらいものを感じてしまうのが 普通だろう。
真面目な働き者として知られる親から、不肖な子供が生まれる、たとえば、警官の子供が暴走族や暴力団、教師の子供が学業不調の不良児、といったパターンが時々見られる。親としてはかなり頭の痛い問題だ。事業家にとっては怠け者の息子などは大変だ。
このようなことの因果関係を、日本文化の心理学と家族療法では、理論的に明らかにすることができ、予防と対処が可能になってきた。原因としては、
(1)「仕事=難儀なもの」という家族神話が存在する
(2)それが発生するような家系になってしまっている。
(3)「仕事」に嫉妬しながら成長してきたという生い立ちがある
といったことが一般的に見られるのだ。
世知辛い世の中にあって、きちんと生計を維持できるように仕事を継続していくこと自体が難しくなってきており、相当の努力が必要とされるようになってい る。ここで、盲目的に必死の努力を行うと、このような問題を起こしてしまいかねない。夫婦の適切な連携により予防と対処が可能であるが、そのことを夫・父 親の立場からなしうることを考えてみたい。
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